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トピックス&ニュース: 2018年の記事一覧

2018年度THMSセミナーの質問への回答4

・卵胞、黄体周辺の血流量を決める要因は何ですか?

 

卵胞の血流量は、LHサージの発生後エストロジェンの上昇とともに卵胞周囲の血流量面積が急激に増加し排卵に至ります。

 

黄体の血流量は、排卵後、黄体の成長に従い血流量が増加し14日がピークを迎える。これは黄体の成長、プロジェステロンの生産に必要な基質の取り込みとプロジェステロンの放出には必要不可欠な現象であります。

 

血流量の差がでる要因は、飼養管理などで異なると思いますが、分娩後の立ちあがりなどが悪く採食糧などの低下を招き、ストレスやエネルギー不足などが起こる事で、視床下部から放出されるホルモンに障害が起こり血流量に変化がでると思われます。

 

 

・ダブルオブシンクでは1回目に発情が来たらAIするのか?

 

畜主との相談で決めていますが、一回目での発情行動は結構見られますが殆どの農家では授精を行いません。理由は、自主的待機期間(VWP)を決めている事と、受胎性を考え一回目で授精を行うメリットが低いと考えられるからです。

 

・カラードップラ-はいくらか?

定価は420万です。

 

 

・複数卵胞だと判断した牛にF1(和牛)を受精していますが、分娩後の母牛への負担では?次の周期まで待つことはありますか?

 

 従来の授精で双子のリスクとは、ホルスタインのフリーマーチンがでる個体販売のリスク、大きな子牛の双子が生まれる分娩リスク、早期で流産しやすい流産リスクの3つあると思います。複数卵胞に小さな和牛(但馬系)授精行えば個体販売リスクは避けられると思われますが、ご指摘の通り分娩リスクはホルの双子が生まれるよりは軽減できる程度ですので次の周期まで待つ事も良いと思いますが、胎期間をみすみす21日間伸ばすリスクを考えればETを上手く活用する事で解決でき個体販売リスク、分娩リスク、流産リスクも一緒に解決できると思われ、お勧めします。

 

 

・人工授精を受け入れる余裕はありますか?

 

大変申し訳ございませんが、受け入れできる余裕がなくできません。

書いた人:thms(20180516)

2018年度THMSセミナーの質問への回答3

・エアーサンプラーの価格

  製品によりますが、30万円~100万円ほどだと思います。高価ですが、問題を可視化し農家さんの理解を高めるツールとしては非常に有用だと思います。


・陽圧換気のダクトチューブの発注などを相談できますか?

  業者様に関しては、設計・発注などのご相談には乗れますが実務はご自分でお願いいたします。弊社の顧客様以外の酪農家さんに関しては、ご連絡をいただければどこまでお力になれるかを相談したいと思います。


・陽圧換気システムの導入費は?

  牛舎の大きさによってファンの能力とチューブの長さが変わります。値段はそれに応じて変化しますが、50頭規模の哺育舎でおよそ30~40万円くらいと思います。


・肺炎予防でドラクシンを使うことはできるのか?

  細菌性またはマイコプラズマ性の肺炎には有効だと思います。作用期間も10日前後と長いので信頼して使えます。


・DC305はいくらか?

  イニシャルコストは約4100㌦で、その後1年ごとに約840㌦かかります。


・哺乳ロボットで離乳した子牛へお湯を給与する場合、期間と量は?

  期間は離乳後、ロボット牛舎にいる1週間ほどです。量は1日2㍑です。この期間と量はその農場ごとの事情に応じてアレンジできると思います。


・吸い合いについて

  吸い合いは初産分娩後の乳頭障害や未経産牛乳房炎の原因となる問題行動です。ミルクの給与量不足、離乳方法(期間や減量法)の失敗、吸引欲が満たされていないなどが原因となります。吸い合いを防ぐために、ミルク給与量は3週令以降では最低8㍑は必要でしょう。離乳は最低10日ほどの期間を設けて2段階でミルクの量を減らしていく方法が良いと思います。吸引欲を満たしてやるために哺乳は乳首でおこなう、飲み終ってもすぐには片付けず吸わせておくなどの工夫が必要です。


・エアーサンプラーの培地はどのようなものを使うのか?

  普通寒天培地です。薬品ディーラーさんから購入可能です。


・哺育ロボットでミルクのあとにお湯を飲ませてもルーメン内での異常発酵や第4胃での消化率低下などは起こらないのでしょうか?

  セミナーの中での話題は「離乳した子牛にミルクの代わりにお湯を飲めるように設定し、吸引欲を満たしてやることで吸い合い行動を防ぐ」というものでした。ミルクのあとにすぐお湯を飲ませるというものではありません。しかし仮にミルクのあとにお湯を飲ませても大量でなければ問題はありません。飲んだミルクは第2胃溝反射によって第3~4胃に流入するのに対して、お湯は第1胃に流入しその後時間をかけて下部消化管に流れます。これとは別に、子牛に大量のお湯(1~2㍑以上)を一気に飲ませると水中毒という状態になる恐れがあります。大量の飲水と血液浸透圧の急激な低下により赤血球が破壊され貧血や血尿などを起こすもので、特に哺乳期間中の子牛は注意が必要です。


・SARAになるとSCCはどうなるのでしょうか?

  SARAが直接の要因となってSCCを上下させることは考えられませんが、SARAがきっかけとなり乳房炎を起こすような場合にはSCCは高くなるでしょう。


・THMSでは飼料設計ソフトは何を使っていますか?

  NDSです。


・糖蜜はSARAにどのような効果がありますか?

  1.TMRの嗜好性を高めたり、選び食い対策として。

      2.炭水化物減をデンプンだけでなく糖にも置き換えることで炭水化物の発酵バリエーションを分散させる。

  3.糖の利用性の高いルーメンプロトゾアの活性を高めることで繊維の消化性を高めることができ、VFAの産生バリエーションを適正に保つ。


・SARAは高泌乳の高DMIの状態では常態化しているのか?

リスクは高いと思います。しかし飼料の調整や給与、カウコンフォート等を上手にマネジメントすることでそのリスクは減らすことができます。たとえば平均採食回数が6回の群と12回の群とではSARAリスクに雲泥の差があることは理解できると思います。これを左右する要因はいくつもあります。飼料設計・給餌回数・餌押し回数・選び食い・過密・給餌スペース・ストールコンフォート・群わけ等々です。SARAリスクを評価するポイントはセミナー中でも紹介した「糞便スコア」「鼻水スコア」「乳成分の変化」などがあります。


・選び食い調査でのパーティクルセパレーターの差の許容範囲は?

  1%以内と言われています。しかし経験的には3%以内くらいなら大丈夫と思います。


・TMR加水前後での乳量や乳成分のデータはありますか?

  乳量に関しては急激な増加ではない場合が多く、1~2か月くらいの幅でみると増加傾向となる感じがします。対して乳成分は比較的早く反応すると思います。


・ストローを使った乾乳TMRで選び食いが観察された場合加水するべきか?

  状況によります。ストローを使った乾乳TMRでの選び食い問題はストローの品質による場合がほとんどだと思います。ストローが5cm以下の細かい状態になっているか?ストローの嗜好性はどうなのか?が重要です。ストローの嗜好性が著しく低い場合などは、ストローの変更をすべきです。ストローを使う場合は麦稈かオーツヘイだと思いますが、麦稈を使う場合は春小麦の麦稈がいいと思います。春小麦はセンイが細かくなりやすく嗜好性も悪くはありませんが、秋まき小麦の麦稈はストローが太く嗜好性もあまりよくありません。経験的には、デントコーンなどの嗜好性の良い粗飼料がある場合は麦稈を使いますが、グラスサイレージのみしかない場合はオーツヘイなどの嗜好性の良いストローをお勧めします。


・高水分グラスサイレージの水分増減にともなう現物給与量の増減量の計算式は?

  増減割合 = 1+(変化前DM-変化後DM)÷変化前DM

 

・TMRの2次発酵防止ではクエン酸、プロピオン酸、ギ酸のどれがいいのでしょうか?

  ギ酸がもっとも確実だと思います。クエン酸やプロピオン酸は嗜好性を落とすこともあるので注意が必要です。他にも嗜好性もよい梅酢などの製品もあります。

書いた人:thms(20180507)

2018年度THMSセミナーの質問への回答2

Q1:ビオチンの説明のところで2産以上では白線病の発生が減少していたが、初産は増加していたのは?

 

この論文で、2産以上の牛ではビオチンの添加によって白線病が減少し、初産では有意差なしという結論でした。初産のような若い牛はそもそも白線病のリスクが少なく、ビオチンの添加による効果が現れにくかったのではないかと考えられます。

 

Q2:ソールフラクチャーとは?

sf1.PNG

 ソールフラクチャーはsole(蹄底)fracture(亀裂)から蹄底真皮の損傷を生じ、強い疼痛を示す病変です(写真)。ソールフラクチャーは数年前からアメリカの著名な削蹄師さんが広めた用語です。蹄底と蹄踵の接合部の亀裂であり、後肢内側蹄に多く発生すると言われています。原因として考えられていることは後肢内側の過荷重であり、長時間の起立であると考えられています。治療法は浮いた角質の除去と蹄真皮への負重の軽減、ブロック装着ですが、内側蹄に生じた場合、可能な限り内側蹄反軸側の蹄壁を残して削ることがポイントとなります。

 

Q3:DDM2を足を上げずに評価する方法は?

 

 DD.pngのサムネール画像

写真で示したような手作りの鏡(キッチン用品のフライ返しに小さな鏡を取り付けた物)を用いてパーラーで搾乳中にDD病変を調査した、という報告があります。

この報告の中では、DDに罹患している牛は削蹄の時に足を上げた場合と比較してもかなり精度良く発見できたようです。しかし病変の間違い(例えばM4M0と判断)もあったようです。そして、DDの発生は少ない部位ではありますが、前肢や趾間のDDの発見精度は低かったようです。結論として著者は、M4.1M1など、Mステージを細かく分類することや趾間や前肢のDDを発見する方法としては十分ではないとしていますが、牛群全体のDDの分布を知るためや日々の作業の中でM2を発見する手段としては有効だろうと書いています。

Validation of the M-stage scoring system for digital dermatitis on dairy cows in the milking parlor 」 L. Solano J. Dairy Sci. 100:1592-1603


Q4:THMSで提案している蹄浴スケジュールはあるか?

農場の状況ごとに提案をさせていただき、そして試行錯誤を繰り返しながら進めているのが現状で、特にこれといったプロトコールを推奨しているわけではありません。しかし、今後のM情報で海外の文献を含めていくつか紹介できれば良いと考えています。

Q5:ゴムマットを通路に引いた牛舎、コンクリートの牛舎での跛行牛の数、淘汰率、産次数、繁殖成績などの違いはありますか?

 

様々な報告の中の一例としてですが、ゴムマットを敷くことによって、蹄病処置の必要な牛の数が減少し、跛行スコア(ロコモーションスコア)が減少したことにより、乳脂肪や乳タンパクの増加が見られたという報告があります。

しかし、別の報告では蹄病の数や乳量に有意差はなく、蹄の磨耗が減少したために蹄底潰瘍が増加したり、床の湿度(水分)が高くなることでDDが増加傾向だったという報告もあります。

また、繁殖成績に関してはゴムマットでは発情発見率、空胎日数などの繁殖成績が向上したが、乳量に有意差はなかったとの報告もあります。

淘汰率に関しての詳しいデータは見つけられませんでした。個人的な印象で言えば、ゴムマットでは跛行を原因とする淘汰の増減はわかりませんが、滑りやすいことによる転倒事故や股関節脱臼などが心配されます。

ゴムマットの良い影響としては床が柔らかいことによる活動量の増加や採食時間の増加が乳成分や繁殖成績として現れたと考えられますが、蹄病の発生数についてはまだはっきりとしていないのが現状と考えています。

 

Q6:蹄病の対策としてルーメン内の環境のコントロールも必要と感じたのですが、生菌剤の使用は有効な対策となるか?

 

生菌剤のボバクチン投与により、ルーメン内での乳酸発酵を抑制し、ルーメン環境を整えることで、ルーメンアシドーシスが軽減する傾向があるとの報告があります。生菌剤と蹄病の関係性を直接検討した報告は見つかりませんでしたが、ルーメン内の環境を整えることは重要と考えられます。

書いた人:thms(20180504)

2018年度THMSセミナーの質問への回答1

1)分娩後すぐにメタカムを打った牛が2-5日後に発熱した場合にメタカムを注射してもよいでしょうか?

 

 メタカムの持続時間は約2日間と考えてよいと思います。数日後に必要があれば投与していいと思います。 

 

2)メタカムとジクロフェナックを使い分けたほうが良いでしょうか?

 

  作用点にかんして厳密に述べれば、メタカムに有利性があります。 しかし、予防的に成牛に使う場合あまり厳密に考えることはないとおもいます。 大きな差は、値段と使い勝手にあります。

メタカムはジクロフェナックに比べ高価ですが、注射ですみます。ジクロフェナックは安価ですが経口投与となります。 

 

3)ペニシリンを使った母乳の初乳を子牛に与えてもよいのでしょうか?

 

 大きな問題はないと考えています。

 

4)周産期のマネージメントについて、分娩前早くからDMIが低下している牛はNEFAの増加により炎症があると思いますが、分娩前からの対策はどうしたらよいのでしょうか?

 

 一般的に肝臓における代謝性炎症が起きる閾値まで分娩前にNEFAの上昇が起きてしまうことは稀だと考えています。しかし、もしそうしたことが強く示唆される場合には、獣医師に診療を依頼してください。また、分娩前のDMI低下が強く示唆される場合は、まずはその理由として、飼料の品質・嗜好性、設計(ME・MP)、環境要因などチェックする必要があります。 

 

5)脂肪肝にすでになった牛に消炎剤を使っても効果は得られますか?

 

 効果は限定的だと思います。 病気はすべてそうですが、早期発見早期治療がもっとも薬が効くタイミングになります。時間がたって病態がすすめば、その効果も暫時低減します。

しかし、全くないかどうかはわかりません。 肝臓の代謝性炎症とそれに伴う脂肪肝が進行中(軽度から重度へ)の投与がどう影響するかどうかです。今後の知見を待ちたいです。

書いた人:thms(20180504)

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