牛の発情周期は一般に21日程度と言われています。しかし、近年の高泌乳化に伴い、発情周囲に変化が生じていると考えられています。22~23日の周期が多くなり、さらにばらつきも大きくなっています。
牛は発情周期の中で、卵胞と黄体そしてそれに関連するダイナミックな内分泌の変化がみられます。ここでは一般的な卵巣の変化と主な内分泌の変化について解説します。
牛は発情周期の中で、2回もしくは3回の卵胞波が見られます。この図では2つの卵胞波の場合について示します。
図の左端が排卵とします。排卵後、黄体の形成に伴って、黄体から産生されるホルモンであるプロジェステロン (以下P4とします) 濃度が上昇します。
また、排卵後、脳下垂体前葉からFSHというホルモンが分泌され、卵胞の発育が開始されます(第1卵胞波)。第一卵胞波の卵胞は発育し、そのうちの1つ(もしくは2つ)が主席卵胞となりますが、P4濃度が高いため第一卵胞波の主席卵胞は排卵せず、閉鎖します。その後、第2卵胞波が起こります。第2卵胞波の主席卵胞が成熟する過程では、子宮内膜で作られたPGF2αが黄体を退行させます。
PGF2αは強力な黄体退行因子です。黄体の退行によって血中のP4濃度が低下し、そのタイミングで主席卵胞から作られるエストロジェンが視床下部に作用し、視床下部からGnRHというホルモンが分泌されます。GnRHは視床下部から脳下垂体前葉に移動し、脳下垂体前葉からLHというホルモンの分泌を刺激します。放出されたLHの作用で主席卵胞が排卵します。
トータルハードマネージメントサービスで行う様々な定時授精プログラムはこれらの内分泌の変化を考慮し、より受胎の可能性が高く効率の良い方法を選択しています。